第69章 向かう先に
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煉獄の屋敷にて。
二人はまずは本部に出向こうと話し合い、まずはお世話になった煉獄の家族に挨拶したいと願い出た。
朝稽古を終えた杏寿郎と槇寿郎は揃って客間に腰を下ろした。
遅れてやって来た千寿郎は、人数分のお茶をお盆に用意し、配膳してから自分に用意された円座に腰を下ろした。
先に口を開いたのは白藤だった。
「此度の一件、私めの我儘に付き合って頂き、ありがとうございました」
深々と頭を垂れる白藤に槇寿郎は声をかけた。
「よせ。知らぬ仲でもあるまい……」
「そうです、藤姫殿。わざわざ頭を下げずとも……」
「ですが………」
「俺からも礼を言わせてくれ。煉獄。並びに父君には大変世話に……」
「堅苦しい挨拶は不要だ。藤姫には返しきれない恩がある。その内でほんの一握り分の恩返しだ」