第68章 リクエスト 現パロ 二人の家元$
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その均衡が崩れたのは、実弥くんの教室に遅れて到着した時だった。
「すみません、遅刻しました!」
「白藤……」
「実弥くん、ごめんなさい…ちょっとサークルで……」
大学に入ってから入会したサークルは美術サークルである。
絵画だけでなく、陶芸なども扱うそのサークルで白藤は練習用の茶器を作ってきたのだが……
「…………」
何か距離が近い……
包みを持っていることを、怪しまれたかな?
「実弥、くん?」
「なァ……」
「何?」
「まだ、冨岡と……付き合ってんのかァ?」
「………あ、うん。でも最近は教室でしか顔合わせてなくて……実弥くん?」
「アイツのどこがいいんだよ……」
「へ?」
トン。
肩を軽く押され、床に倒れた私の唇に実弥くんが口付けてきた。