第68章 リクエスト 現パロ 二人の家元$
「白藤……」
やめてー。
取り巻き連れてこっち来ないで!
「師範、お疲れ様です」
「今日の予定なんだが……」
「夕方からでしたよね?何か変更ありましたか?」
「入荷するはずのアマリリスが業者のミスで届かなくなった。代わりにプリザーブドフラワーの溶液に漬けた山百合を使うことになった」
「分かりました」
ひそひそと取り巻きからの陰口が聞こえる。
「誰、あの娘?」
「ほら如月堂さんのお孫さんよ」
「如月堂さんって龍臣さんの?」
「そうそう、あの娘は妹さん」
如月堂と言うのは私の祖父が経営している和菓子屋で、跡取りは私の兄である龍臣と昔から決まっている。