第68章 リクエスト 現パロ 二人の家元$
「きゃー」
できる限り声を抑えていても漏れ出てしまう黄色い声援を浴びている男性が一人。
若草を模した和服を着込み、強面だが所作の綺麗な白髪の青年。
名前は不死川実弥。
言わずと知れた茶道の家元である。
「師範、今日のお召し物も素敵ですね」
あぁ、今日も一段と取り巻きに囲まれている。
私は数居る門下生の一人。
幼なじみと言えど、昔の様においそれと『実弥くん』とは呼べなくなってしまった。
まぁ、実弥くんに限った話ではなく、私にはもう一人、幼なじみがいる。
「きゃー」
あぁ、こっちもか。
こちらは昔の書生風の出で立ちをしている。
青年の名は冨岡義勇。
こちらは華道の家元だ。
私たち三人は幼なじみで幼稚園の頃から仲が良かった。