第67章 澱(おり)の中で$
対する白藤は槇寿郎しか保管場所を知らない藤屋敷の通いの頃の着物を用意されていて、最近は着ていなかったと懐かしく思いながら、袖を通した。
久しぶりに眺める藤屋敷の着物に身を包んだ白藤を見た冨岡は初めて対面した時よりも彼女が魅力的に見えて思わず押し黙ってしまった。
「……………」
「義勇さん?」
「き……」
「もしかして、まだどこか具合が悪いですか?」
「違う。……その、良く似合っている」
「え?あぁ、久方振りですが、まだ着れますね」
「違う」
「はい?」
「その……綺麗だ白藤……///」
そんな赤くなりながら言うなんて……
「えぅ………//////」
その後、朝食を持ってきた千寿郎が顔を真っ赤にしている二人を遠巻きに見て、割って入っていいものかと思案にくれるのであった。
ー了ー