第67章 澱(おり)の中で$
それは言えない。
望めない。
だって、貴方は人で、私は鬼だから。
いつか終わりが来ると、分かっているから。
『人』である貴方よりも『鬼』の私はずっと長い時を生きる『呪い』がかけられているから。
私は今、貴方と過ごす事よりも、貴方を看取る最期が怖くてたまらない。
そんな考えがよぎる中、白藤の胸中を知りえない冨岡は、久しぶりに感じる白藤の存在に安堵していた。
時間を置いて、賑やかな夕餉を囲んだ。
冨岡はどこか戸惑いがちだったが、煉獄家の朗らかな雰囲気にほんの少しだけ頬が緩んだ気がする。
夕餉は杏寿郎の好物のサツマイモご飯にきのこ汁、栗の甘露煮だった。
手の凝った夕餉の数々に各々が舌鼓を打ち、千寿郎を褒め称えた。
後片付けを手伝うとかって出たはずの冨岡と杏寿郎が台所からものの数分とかからず戻って来た。
追い出されてしまったのかしら?
小さな笑みが溢れる。