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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第67章 澱(おり)の中で$


「体を冷やすぞ……」

悩んでいると、槇寿郎が袿を手にやって来た。

「槇寿郎様……」

「藤姫よ。自身を言い訳にするな」

「そなたが"鬼"でも、鬼殺隊がそなたを護るのは回復の為だけではない」

「………」

「皆そなたを"人"同様に想っているからだ。愛情、友情、信頼……様々あれど、その感情に突き動かされるのが、"人"なのだ。その上で、そなたを護ろうとするのだ」

「私は……」

「護られる『価値』が無いか?」

槇寿郎の言葉にコクリと頷く。

「阿呆が……」

白藤の頭をクシャりと撫でる。

「そなたに救われた命が目の前に居るではないか。俺も、杏寿郎も、そなたが居なくては助からなかった命だ…」

「………っ」

ついに堪えていた涙が溢れ出した。

「ここは冷える。俺の部屋に来るといい……」

槇寿郎は白藤を抱き抱えると、するりと踵を返したのだった。

父の父たる威厳を見た気がして、杏寿郎はしばし、その場から動けなかった。

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