第67章 澱(おり)の中で$
最終選別は錆兎と共に受けたが、俺は怪我で動けなくなり、錆兎は悲鳴の聞こえてくる方へ駆けつけては鬼を倒していた、ハズだった。
何も出来ずに最終選別が明けた時、俺は安心すると共に、またも生かされたことを自責した。
帰って来なかった彼の分まで、俺は生きねばならない。
それを胸に今まで刀を振るってきた。
鬼に対して非情になり、何体もの鬼を屠ってきた。
今度は誰も犠牲にしないために。
誰かのために……
その思いで『凪』を完成させた。
だが、白藤に会って、鬼に対しての考えが徐々に変わりつつある。
鬼とて、元は人。
白藤は鬼だが、禰豆子と同じく人を喰わない。