第67章 澱(おり)の中で$
冨岡の家は両親が亡くなり、姉の蔦子と慎ましく暮らしていた。
姉の縁談が決まり、花嫁衣装を用意したりと忙しい日々が過ぎ、祝言を挙げる前日。
悲劇は起きた。
蔦子は鬼に食い殺され、義勇は彼女の指示で隠れていた為、難を逃れた。
蔦子が化け物に襲われたと知人に話した所、姉が死んだせいで頭がおかしくなったのかもしれないと心配され、医者に連れて行かれそうになり、義勇はその道中で逃げ出した。
蔦子の形見の着物を持ち、山中を彷徨っていた所で、鱗滝の知り合いの猟師に出会い、鬼殺の道を目指した。
同時期に親を亡くし、志をともにしたのが、錆兎だった。
彼は俺なんかよりも強く、人の為に動くことの出来る勇気があった。