第67章 澱(おり)の中で$
「………それで、出来ちゃったワケ?」
「そうらしい……」
「…………要するに、その夜子作り……」
「言わんで、良い!」
「何だよ、急に……」
「……冨岡さんの匂いで気分が沈んでいくのが分かるんだ。暗い水の底に……澱の中に沈んでいくみたいな……」
「もしかして、それでお前が冨岡さんとこに居るのか?」
「白藤さんに頼まれたんだよ、支えてあげて欲しいって」
「………でもさぁ」
「安心してもらいたい。俺もどんな形であれ、白藤さんの役に立ちたいんだ」
「炭治郎………」
良い奴過ぎるよ、お前。
という言葉を飲み込んで、善逸は白藤程の美人ではなくてもいい人は存在すると、炭治郎に熱く語るのだった。
同期との夜は騒々しくも楽しくて心地よい疲労感に包まれながら、炭治郎は眠りに就いた。