第67章 澱(おり)の中で$
藤の屋敷での夕食を終え、用意された夜着に袖を通す。
炭治郎がいつ話をするのかと善逸と伊之助は待っていた。
「実はな……二人共。白藤さんのお腹に居る赤子は"上弦の鬼の子"なんだってさ」
「は?」
「鬼って子供出来ねぇって言ってなかったか?」
「俺もそう聞いてたんだけどなー……」
「でも、何で上弦なんだよ?」
「二人で鱗滝左近次さんって言う育手に会いに行ったらしいんだ」
「あぁ。冨岡さんも同じとこだって言ってた人だろ?」
「そう。その鱗滝さんの屋敷の近くの山に二人で登った時に白藤さんが山から落ちたんだって」
「え?それって普通助からないんじゃない?あ!そうか!白藤さん、半分鬼だから助かったんだ!」
「そういうこと」
「頸斬られた訳じゃねぇから、元に戻ったってことか?」
「正解だよ、伊之助」
「で?上弦は?」
「うん、谷底に落ちた白藤さんは社に居たんだって。上弦の鬼と一緒に一晩」