第67章 澱(おり)の中で$
想いが通じ何度も体を重ねた布団。
最近は臥せっていることが多かったが。
今は白藤を感じられる唯一の物だ。
ふわりと藤の香りがする。
何故、俺では駄目だったのだろうか。
俺は白藤を愛している。
その気持ちは揺るがない。
だが、今は己の無力さに打ちひしがれている。
白藤。
居なくなったその瞬間から、お前の姿を探してしまう。
俺は、どんな情けない男に見えるだろうか……
冨岡が着替えをしていると屋敷の玄関から声が聞こえた。
どうやら来客らしい。
「義勇さーん!」
この声は……
「炭治郎か……」
寝室から玄関へ向かう。
「何だ?」
「あ、義勇さん!今日から俺がお世話します!」
「は?」
炭治郎曰く、煉獄の鎹鴉伝えで炭治郎の元に白藤から俺の世話をしてくれという内容の手紙を受け取ったということらしい。