第3章 藤の花屋敷の鬼女$(冨岡裏)
「お前はどうして、ここに居るんだ?」
「鬼の身で、という意味ででしょうか?そうですね、強いて言えば、利害の一致……ですね。半人半鬼ですから、私も体を維持するために必要なものがあるのです」
「必要なもの?」
「えぇ。私は人の性を喰らうのです。特に柱の方々の性は格別なのです。だから、今宵はお付き合い願えますか?」
冨岡の胸にすり寄る。
ごく自然に体を寄せれば、並の男性はたじろぐものだ。
堅物であるなら、それが当たり前。
と、思っていたのだが……
「付き合う?」
「………もしかして冨岡さんは初めてなのですか?」
柱の身で初物とは、珍しい。
「何をだ?」
これは、少々私の興が乗ってしまうやも。
「大丈夫です。何も心配は要りませんよ?私が手取り足取りお教え致します」
たまには、私が楽しむ側に回っても、良いですよね?
自然と白藤の唇が弧を描く。