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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第65章 慟哭$



「……藤姫殿は祖母の事も……」

「えぇ。存じてますよ」

「その……祖母はどんな方だっただろうか?」

「篝様は笑顔の素敵な女性でした。何より寛寿郎様に向ける笑顔はとても可愛らしいものでしたし、私も篝様には大変良くして頂きましたから」

「そうなのか。俺は祖母には会えたことが無かったから、藤姫殿から聞けて良かった……」

「杏寿郎様」

「済まない。柄にもなく感傷に浸ってしまっ……」

ぎゅっ。

白藤が杏寿郎を抱き締める。

「大丈夫です。杏寿郎様は若いのですから、私の前でなら感情を抑えずとも良いのです」

「だが……俺は嫡男で……」

「悲しい、嬉しい、色々があって人でしょう?」

ポンと背中を叩いてやる。

辛うじて保っていた堰が破れるように、杏寿郎の背中が揺れる。

少しの間、白藤は杏寿郎の背を擦りながら、冴えざえと光る月を眺めていた。



ー了ー

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