第65章 慟哭$
体を支えようにも、上手くいかず、縋(すが)るように、彼の首に腕を回す。
ギュ。
彼の顏(かんばせ)にも玉のような汗が浮かんでいる。
快感を噛み締めるように腰を振り続ける彼の熱を孕んだ熱い視線。
いつもの燦燦とした日輪のような瞳も今私に向けられている妖艶さを醸し出す瞳も。
見据えられただけで、吸い込まれてしまいそうで。
「まだ、余裕が有りそうだな…?」
私の視線の意味などお構い無しに、貴方は私の隅々まで暴いてしまうのだ。
その瞳の前では………
「槇、寿郎……様……///」
貴方から、もう一度だけ……
私の名を、呼んで欲しいと、望んでしまう私は我儘だろうか?
願いが通じたのか、はたまた魅了の効果が薄まったのか。
彼が私の腟内で果てる時に唇の動きを読んだ……
「っ………」
うわ言に近い男性の微かな喘ぎに、藤姫と。
聞き間違いかも知れない。
都合の良い聞き耳と笑われても構わない。
ただ、貴方が愛しくてたまらなかった。