第65章 慟哭$
「何故、目を逸らす?」
「そんなに見つめられては、穴が開いてしまいます……///」
本当は、貴方に見透かされてしまいそうで怖いのです。
頬に指先が触れる。
彼の親指が私の唇をなぞる。
「名を、呼んでくれ」
「……槇寿郎様///」
照れたように、視線を逸らす。
「……触れても、良いか?」
私の手が彼の掌の中に包まれる。
「……はい。ただ、がっかりしないで頂けますか?///」
伏し目がちに、たじろぐ様に視線を彷徨わせ、帯に手をかける。
彼に注視されているせいか顔に熱が集まり、指がもたつき、上手く解けないでいると……
「焦らなくていい。俺がやろう」