第65章 慟哭＄

「歴代の炎柱が彼女の世話になって来たんだ。気にもする……」

「はぁ」

少々意味を捉え切れないでいると、父がまた口を開いた。

「彼女が『懐妊』したという噂は事実か？」

要(かなめ)が父にも報告したのだろうか？

「はい、恐らく。父上？」

「………ハズが無い」

父の苦悶の表情に杏寿郎は首を傾げる。

「父上……？」

「彼女の食事は相変わらず『性』なのだろう？ならば考えられることは一つだ」

どうにも愚息は俺が危惧している事に気付けていないようだ。

「はあ……」

俺はため息を吐いた。