第65章 慟哭$
胡蝶は宇髄の問いかけは理解していたが、論点がズレていることに疑問を感じた。
「いや、ほら女が妊娠に気付いた時には大抵二、三カ月経過してるもんだろ?医者もよく言うじゃねぇか。妊娠二ヶ月ですって」
「あぁ、そうですね。普通は女性の最終月経……いわゆる"月のもの"ですね。それからの経過を診ますから……ただ、実際に三ヶ月前の事を言っている訳じゃありませんよ?」
「そうなのか?」
「ええ。それに白藤さんは鬼です。私が知る限り月経はありませんでしたし、皆さんが避妊したこと無いくらい彼女が相手をしてきて今まで一度でも妊娠しましたか?」
「ねぇな」
「でしょうね……だから彼女は人の子種では妊娠しないのですよ」
「じゃ、腹の子は"鬼"って訳か?」
「ええ。だから今回は白藤さんには余計な負担をかけてしまうのではと……」