第65章 慟哭$
「あら、珠世さんからの文だわ」
経過報告に行っていた鴉が胡蝶の元へ戻ってきた時、文を咥えていた。
珠世の解答は胡蝶の考えと同じだった。
藤の毒が効かない鬼の可能性が高い。
加えて、上弦の鬼の子。
危険性も高い。
ただ、鬼の頸を斬るのをそのまま冨岡に任せる訳にはいかない。
それではあまりに酷すぎる。
では、誰が適切か。
あぁ。
こういう時、姉だったならどうしていただろう。
『悩んでいても仕方ないわよ。皆と相談しましょう?』
きっとそう言ってくれる。
「……悲鳴嶼さんの所に行ってみましょうか」
私と姉を鬼から救ってくれた彼ならば何か知恵を貸してくれるかもしれない。