第62章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも下巻2完結$
厩舎に寄ってカンバダを連れて来て、朔と二人で跨がる。
いつになく上機嫌な朔に訳を聞いてみると、二人で乗りたかったと言う。
確かに、剣に戻るのを嫌そうにしていた気がする。
配慮に欠けていたか……
「義勇様、このままフラムの王宮に向かうのですか?」
「あぁ。そのつもりだ」
「叔父上の書状とインフェルノの書状があれば、王もお認め下さるだろう。後は俺の問題だ」
「義勇様の?」
「武器相手に情が湧いてしまったからな、妻に面目が立たん」
「王宮でお待ちになられているんですよね……」
何だろう、胸の奥がチクチクする。
「朔?」
「お会いしたいです。きっと素敵な人なんでしょうね」
嘘を吐いた。
「………白藤に説明することが山ほどある」