第61章 藤姫の帰還
「いいえ、甘露寺様。私が自分からこの山の修練場を見たいと言わなかったら、こんなことにはならなかったのです……」
「そうなんですか?冨岡さん」
「案内をした俺にも責任はある」
「そんな!義勇さんは何も間違っていません!」
がばっと顔を上げ、冨岡の言を否定する白藤。
「……藤姫殿、義勇を守って下さり、ありがとうございます」
恭しく頭を下げる鱗滝。
「頭をお上げください、左近次様!当たり前ではないですか!私は……私は貴方も含めて、義勇さんと『家族』になりたいのですから……」
「白藤……」
冨岡に優しく頭を撫でられる。
「義勇さ……」
「もういい。ありがとう……」
「はい……」
でも、話さなきゃいけないことがある。
たくさん。
思い出したこと、忘れられないこと、貴方への想い……
-了-