第61章 藤姫の帰還
「猗窩座様」
「鬼狩りが十六夜に何の用だ?直ぐに頸を狩らぬ訳は?」
猗窩座の問いに胡蝶たちは返答出来ずにいたが……
「十六夜ではない。彼女の名は白藤。人を殺さぬ鬼だ」
「人を殺さぬ鬼?解せんな」
だが、確かに彼女は昨夜重度の飢餓状態だったにも関わらず、人を喰わなかった。
代わりに喰らったのは……
まさか、コイツは。
人の『血肉』の代わりに『性』を喰らうのか。
例外にも程がある。
だが、そうなら頷ける。
何故か体力が向上しているような気もするが、それもコイツの能力なのだとすれば。
何と利用価値の高いことか。
「そいつを返して貰おうか」
猗窩座が白藤を指差す。