第60章 谷底の社$
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「伝令、伝令ー!」
冨岡の鎹鴉、寛三郎が産屋敷本部にたどり着いたのは夜半過ぎ。
鴉達の連携のおかげで、直ちに現地に近い柱が派遣される運びとなった。
派遣される柱は二名。
一人は蟲柱 胡蝶しのぶ。
そしてもう一人……
「狭霧山ってどっち?」
恋柱 甘露寺蜜璃である。
合流次第、捜索範囲の拡大。
万が一、藤姫が鬼の手中にある場合は三人での合同任務、又は増援要請をするようにとの旨だった。
冨岡は蜘蛛の糸のように細いと言われる渓谷を下る道を探していた。
柱が来るとはいえ、何もせずにはいられなかったのだ。
何としても、白藤を助け出さなければ。
その一心で冨岡は突き進んでいた……
-了-