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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第60章 谷底の社$


いつの間にか桶に水を用意した猗窩座に髪の毛を整えられる。

「このままでは、血が固まるからな」

「…………ありがとうございます」

血がこびりついている左のこめかみを念入りに洗われる。

猗窩座はゆっくり、出来るだけ丁寧に白藤の髪をほぐした。

この娘からは不思議な香りがする。

鬼が危惧する藤の香りに、この娘の独特な気配。

鬼に何故、藤の香り?

「十六夜、お前は藤の花が平気なのか?」

「え?えぇ。おかしいですか?」

何だ?

指先が痺れるような……

「十六夜、お前は何者だ?」

「……すみません、自分でもよく分かりません。ただ……私には、兄のように接してくれた方が居て……その人の病が治るようにと薬師様に日々薬を頂いていまして……日が経つにつれ、私の体に変化が出始めたのです……」

猗窩座は彼女の話に耳を傾けた。

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