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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第60章 谷底の社$


先ほど拝借してきた炭で魚を焼く。

ぷつぷつと皮が所々はぜ、脂がのった身がじゅうじゅうと音を立てる。

熱いと言いながら、十六夜はそれを満足そうに頬張っている。

猗窩座はその様子を静かに眺めていた。

人間だった頃の記憶はひどく朧気で。

あれは、誰だっただろうか。

顔や声を思い出そうとすると、霞がかかったように全てが煙にまかれてしまう。

「猗窩座様は食べないのですか?」

「俺はいい」

しかし、鬼が人を喰わぬとはな……

だが、他に代償は無いのか?

食べる量は普通の人間と変わらないようだが……?

「ご馳走様でした。猗窩座様は何か召し上がらないのですか?」

「あぁ」

確かに、最近あまり人間を喰ってはいないな。

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