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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第60章 谷底の社$


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日暮れから活動すると、野山は月明かり以外頼りがなく、薄暗い茂みの中では、白いもの以外はどれも黒ずんで見える。

陽の下でなければ色も分からない……

月が天中にかかった頃、猗窩座は根城である谷底の社へと向かった。

社の脇の血溜まりの中に彼女の姿はなかった。

行ったか。

社の中へ足を進める。

ここは長らく人に管理されてなく、谷底のじめじめとした湿気によって、社の所々が腐食している。

黴臭い。

けれども慣れてしまえば、匂いも気にならない。

ここは猗窩座にとっての根城でもあるが、精神統一の場所でもある。

「スゥ---…」

呼吸を整え、精神を研ぎ澄ます。

カタ。

物音と眷族の匂い。

まさか。

カラ。

元は社務所だった場所に彼女はいた。

何かを探しているのか、ただ目新しいのか。

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