第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
「カナヲ、この人たちは隣国のフラム国の王子様と伝承の武器、エディルレイドよ」
「はぁ。王子様とエディルレイド?」
「えぇとね。カナヲも昔、母様に聖剣伝説の絵本を読んでもらっているわよね?」
「聖剣伝説って確か我が国とフラム国のどこかに存在する五本の剣でしたよね?」
「そう。昔はインフェルノとフラムは一つの国だったのよ」
ん?そうだったか?
確かに前に叔父上の座学で聞いたような気もする。
そうか。
今のフラムだけで考えていては五本の聖剣が全て揃う訳ではないということか。
まぁ、それはともかくだ。
あぁ、解放さえしてくれれば、さっきの川岸の岩を退けるか、朔の謌で嵐をよんで水難を退けられるというのに。
「そうなんですか」
しのぶ、カナエ両名から説明を受けていたカナヲはようやくこちらを見た。
解放してくれるのだろうか?