第1章 はじめ
なぜ僕は親に従ってしまったのだろう。
心の底から後悔した。
だがしかし、過去は変えられない。戻れない。
憎んだって時間の無駄だ。それならいっそ過去など忘れてしまえばいい。白々しく生きていけばいいのだ!
そう思う。はっ、馬鹿馬鹿しいな。 笑える。
生きてて幸せ。とでも思っておこう。
「よく生きてこられたな…」
そう自分を褒める。僕は成績以外褒められたことが無い。自給自足するしかないのだ。
「おっ!綾瀬やん!偶然やな〜!ここでなにしてはるん?」
そう陽気な関西弁で近付いてくる彼の名は五十嵐遥(いがらしはる)
「五十嵐…」
綾瀬…とは僕の名前。
僕の名前は綾瀬七夜(あやせなな)
「どうしたんだ五十嵐…何の用だ?」
「いやいや、偶然なだけやで?俺言うたやろ、綾瀬なにしてはるん?って!」
「あー…ちょっと考え事してただけ」
「…そうなんやなぁ。生きてて偉いで、綾瀬」
そう。優しく、甘く。私が1番欲しがってた言葉。
「っそう。生きていることは当たり前だからね。いつか死んでしまうけれど」
「あっははwそうやな!w綾瀬は頑張り屋さんやもんね、早死せんといてなw」
なんだこの男は。一緒にいると狂ってしまいそうだ。
まるで今までの弱音でも吐いてしまいそうで。