The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
「これはカリムが間違って沢山頼んで余っているものなんだ。寮にあっても置き場に困るだけだからもらって欲しい」
「うう。そんなこと言われても……受け取れませんよ」
「ハーツラビュルのみたいに毎日飲むわけじゃないから消費に困っているんだ。こっちを助けると思って貰ってくれないか?」
「貰っても後から何か請求されたりとかしませんよね?私対価になるようなものありませんよ」
恐る恐る受け取ると不快だと言いたげに先輩はぐっと眉を寄せて私を見下ろした。
「そんなに疑ってもオクタヴィネルの連中じゃないだから対価なんて要求しない」
「オク……?それはわからないですが、食材とおかずも本当に貰ってしまっていいんですか?」
「あぁ。……ほら早く鏡舎まで行くぞ。カリムが起きると宴だと言い出して面倒なことになる」
ぐいぐいと強引に背中を押されて寮の中から出た。カリムさんって人が寮長さんか、入学式で会った白髪の人かな?グリムの炎で服を燃やされたのを思い出して、もし会えたらもう一度謝ろうと思っていたけど今日は会えなそうかな。
鏡舎に向かう途中、先輩はふと私の手を見た。
「そういえばその右手どうしたんだ?会った時から気になっていたが」
「これ、ですか?10億マドルのシャンデリアを壊した話ってもう広がっているんでしょうか?」
「あぁ…寮生たちが話していたのを聞いたな。冗談だと思って気にしていなかったんだが、まさか本当のことなのか?」
「あはは……本当なんです。それで破片を少しでも集めないと修復できないと思ったら頭の中真っ白になってて、箒で集めることも忘れて手で集めたら手が血塗れになっちゃったんです。正直、ここまでするほど大袈裟な怪我じゃないのに保健室に行ったら包帯でグルグル巻きにされちゃったんですよー」
「手で集めるって……そりゃ怪我するのも当たり前だな」
呆れたように私を見ていて、馬鹿なんじゃないかと言葉は濁していたけど伝わって来た。実際何も考えずに動いていたのは事実だから仕方ない。
***
寮の鏡を通ると一瞬で鏡舎までついていた。
うーん。今だにこの転移の感覚慣れないな。
足元がふわっと浮いて気づいたら違う景色が見えるのは不思議な感じだ。
「ここまででいいか?」
「はい!わざわざ鏡舎まで送ってくださってありがとうございます!バイパー先輩!」