The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
『急いで薔薇を塗らなくちゃ』
『おっと、薔薇を塗り残してるぞ!』
トランプ兵たちはペンキを片手に走り回る。赤いペンキを撒き散らして、急いで薔薇を塗る様子に何故か私はぼーっと見つめていた。
何で赤く塗る必要があるのかな?
白の薔薇、とっても綺麗に咲いているのに。
すると、水色のワンピースにエプロンをつけた可愛らしい女の子がやってきてトランプ兵に尋ねます。
『どうして薔薇を塗っているの?』
『間違って白い薔薇を植えてしまったんだ。これがバレたら女王様に首を刎ねられてしまう!』
それだけで打首?でも、この話誰かから似た様な話を聞いたことがあるような……。
***
目を開けると古びた天井が見える。
見回すと所々破けたカーテンや壊れた家具、そっかここは私の部屋だ。
「まだ起きるには早い時間だな……んー。ふわぁ……妙に目が冴えちゃった……」
久しぶりに夢を見た気がする。何の夢だったかはあんまり覚えてない。ぐーんと伸びをして、すやすやと隣で眠るグリムを起こさない様にベッドから降りる。
すると、突然寮の中に響いた音にびくりと肩が飛び跳ねた。今の外からだよね…。学園長ならノックなんてしないで転移魔法のようなもので何もないところから突然やってくるし、ゴーストならそもそもすり抜けてノックなんてできない。
だ、誰だろう。こんなオンボロ寮に来る様な泥棒はいないだろう、そもそも盗んで売れる様なものが特にないから。
「……おい、誰か来たみたいだゾ……こんな夜中に一体誰なんだゾ」
「あ、グリム。起きちゃったか……」
目を擦りながら隣で起き上がるグリムに気づく。
本当に一体誰だろう。念のため、これ持っていこうかな。
「……オマエ、それを持っていくのか?」
「うん。もし泥棒さんならノックはしないと思うけど、念のため……ね?」
「流石にそれはやってきたやつを同情するんだゾ」
私が手に取ったものを見て、微妙な顔をしたグリムを気にせず、玄関まで行く。 ゴーストじゃないかと怖がるグリムをよそに扉に向かって声を掛けた。
「こんな夜中にどなたですか?」
「……オレ。オレだよ」
「詐欺ならご遠慮願いまーす」
「おい!気づいてるだろ!詐欺じゃねーわ!」
えー違うのかーと棒読みで返しながらドアを開けた。膨れっ面で顔を見せたのはさっき鏡舎で別れたばかりのエースだ。