The end of the story 【ツイステ】
第1章 mirrorハプニング!
顔を上げるとさっきの伏せてと言ってくれた赤毛の人だ。フードで顔まではよく見えなかったけど。
この先の展開は何となくこんな感じだったようなってぐらいしか覚えていない。ゲーム自体はこの世界に来る前によくやっていたって記憶はあるのに。あの闇の鏡が答えたことでようやく思い出したぐらいで内容が所々虫食いみたいに抜けている。どうしてこの世界に来てしまったのかとか来る前に何をしていたのかとかが思い出せない。
この後の展開、どんな感じだったのか思い出していると焦ったような声が聞こえて顔を上げる。
「うわああ!!あちちち!尻に火が!」
「?!待っててください!すぐに消します!」
グリムの炎が上級生の服に引火して、必死に消そうとしているが中々消えていない。
「早くあの狸を捕まえてください!このままでは学園が火の海です!!」
「チッ……かったりぃな」
「アラ、狩りはお得意でしょ?まるまる太った絶好のオヤツじゃない」
「何で俺が。テメェがやれよ」
「クロウリー先生、お任せ下さい。いたいけな小動物をいたぶって捕獲するという皆さんが嫌がる役目、この僕が請け負います」
「さすがアズール氏。内申の点数稼ぎキマシタワー」
新入生たちはこの騒ぎに慌てているのに上級生たちは全く動じていないところは流石だ。というか、この光景を生で見れるとは思わなかったとこんな状況なのに思ってしまう。
それよりも火を消すことが最優先だ。
「……消えるかな。少し失礼しますね」
「!……お、おう!」
火がついたと言ってもマッチの火よりも少し小さいぐらいだからこれなら私でも消せそうだ。
「少し上着を脱いでもらってもいいですか?」
「構わないぞ!ほら!」
疑問には思ったようだが、素直に不思議な模様のついた服を脱いでくれたのでその人を見上げると綺麗な白髪と宝石のような赤い瞳に整った顔立ちが優しそうな笑みを浮かべる姿に思わず一瞬固まった。
「!……きれ…じゃなくて!ありがとうございます!あ、あの。少し汚してしまっても構いませんか?」
「よく汚してしまってるし、それくらいまた買えばいいから大丈夫だ!」
許可を取ると服を地面に置いて火がついた場所を靴でぐりぐり踏みつける。本当は水で消すのが一番いいんだけど、これしか私には方法が分からないから仕方ない。
燃えた部分が焦げてるが、火は消えたのでひとまず大丈夫そうだ。