The end of the story 【ツイステ】
第12章 Confusionトゥルース!
「ん?ハーツラビュル寮の寮長様がうちのクラスに来るなんて珍しいっすね?それに君らは……今更何といってもデラックスメンチカツサンドはもう返せないっスからね」
ニヤニヤと私たちを見ながら笑ってくる様子が癇に障ったのかグリムが飛び出していきそうでグリムを改めて抱え込む。ここはいつむエースたちの喧嘩に慣れてきた私たちのクラスじゃないんだから教室が燃えてしまったら一大事だよ。まぁ、そんなことになる前にリドル先輩がお得意の魔法で首を跳ねてきそうだけど。
「むーーっ。こいつ、やっぱりむかつくんだゾ!!」
「ま、まぁまぁ」
「ラギー・ブッチ。今学園で起こっている選手候補の連続傷害事件について話があるんだ」
「おっと…それは穏やかじゃない話題っすね」
「ちょーっと表に出てくれないかな?」
妖し気に微笑むケイト先輩の少し珍しい表情に目を瞬かせる。…意外とケイト先輩もトレイ先輩が怪我をしたこと気にしていたのだろか。なんだか妙な凄みがある。
「わ、わかったッスよ。だから、乱暴な真似はやめて欲しいッス」
明らかに怒っている先輩二人が横にいると冷静になるものだ。
怒気に気付いたラギーは慌てて両手を上にあげる。
…なんだろう。少し嫌な予感。あまり彼のことを知っているわけではないが、こんなに簡単に降参するような人だっただろうか。それに……。私の脳裏には夢で見たことを思い出していた。
ハイエナたちがニヤニヤと笑い、目に傷のあるライオンが自身の甥を殺すための企みを画策していた。
その夢がどうにも今の状況とリンクしているように思えてしまう。
「… ユウ?どうしたんだ?」
「ううん。ただ、ちょっと気になることがあってね」
不思議そうに見上げるグリムの声に首を振り、教室を出る先輩たちの後を追った。
しかし、ラギー先輩が怪我をさせていた証拠がない以上断罪はできない。せめてその現場に居合わせることができたらよかったのだけど。
「ボクの『首をはねろ』で……」
「あっれー?リドルくーん、マジカルペン無しにそんな大きな魔法を使って大丈夫ッスかー?」
「え、あ、あれっ?!ボクのマジカルペンがない!」
「おい、ケイト!お前のペンもないんだゾ!!」
「う、うそっ!マジで!?」
慌てて二人は胸ポケットを見るが、ペンの入っていたポケットは空になっていた。