The end of the story 【ツイステ】
第7章 Redrulerサルベーション!
眩しいくらいに幸せな空間を眺めて目を細める。
それでもいつかきっと帰る日がくる。その時までどうかこの居場所が変わりませんように。
私は三人につられてくすくすと笑いながらも強くそう思った。
***
乾いた空気が流れるサバナクロー寮では二人の獣人が部屋に集っていた。
「はー、レオナさーん。まーた服脱ぎっぱなしにして……色んなところに脱ぎ捨てんじゃなくってせめて一纏めに置いて欲しいっすよ」
洗濯するこっちの身にもなって欲しいっすよとぶつぶつと文句をいいながらラギーは洗濯籠に脱ぎ捨てられたワイシャツや運動着を投げ入れて行く。
部屋の主人であるレオナはめんどくさそうに欠伸をして、悪びれない様子で言い返した。
「俺の部屋なんだからどう使ったって俺の勝手だろ?」
「全く……あ、そうだ。今日リドルくんから聞いたんっスけど今日ハーツラビュル寮でご馳走食いまくりのパーティーらしいっスよー?ここにもそーいう伝統ないっスかねー?」
チラチラとこっちも見て言外にお願いするラギーにレオナはため息をはく。
「別に作らないぞ。大体ケーキやらクッキーやら食って楽しいパーティーなんて虫唾が走るぜ。そもそもお前はタダで食いもんにありつきたいだけだろ」
「そんなん当たり前じゃないっスか〜オレはハイエナっスよ?シシッ!」
「それより例の件だが………」
「あぁ。それなら任せてくださいっス。ちゃーんと準備は進んでるっスよ」
シシッといつものように笑うラギーにそれならいいとレオナはニヤリと笑い呟く。思い描く計画のことを考えると珍しく心が躍るようだった。一瞬黒曜の一年を思い出すが、すぐに記憶から薄れていく。
「アイツらが暢気に茶を飲んでいられるのも今のうちさ。そして……気取ったマレウスのやつも……」
二人の脳裏には同じ忌々しい一人の姿が映っていた。圧倒的なまでに寮生がアイツの魔法にやられる様を思い出し、レオナは顔を顰めた。
「覚悟しておくことだな……フハッハハハハ…ハハハハッ!」
一人の獅子はたった一人が地に伏す姿を思い浮かべ愉快そうに笑う声は部屋に響いた。その声を一人の獣人が聞いていたことを二人はまだ知らない。
今まさに彼らの鋭い爪と瞳は獲物を捕らえようと爛々と光っていた。
不穏な影と共に波乱が巻き起ころうとしていることに私はまだ気づかず、友達の側でただただ平和を噛み締めていた。