The end of the story 【ツイステ】
第2章 encounterボーイズ
「ふひひ、ツナ缶食べ放題なんだゾー。ふなぁ………すぴー」
「すごい大きな寝言…」
グリムの寝言を聞いて思わず苦笑しながらベッドから起き上がった。慣れない硬いマットレスだったせいかいつもより早く起きてしまったようだ。まだ外は少し薄暗い。
「もう一度寝ても多分眠れないし、掃除でもしてようかな……」
寝室から出て昨日雨漏りしている場所に応急処置として置いておいたバケツや器に水が溜まっている。全てバケツに集めると半分くらいまで溜まってしまった。
昨日の夜の雨は思ったより長い間降り続いたものだったようだ。中身を外に捨てに行こうとバケツを持ち上げるとずしりとした重さが腕にかかり、思わず床に降ろしてしまった。
「うぅ。この量ならいけるかと思ったけど。私って本当に筋力なさすぎ……」
仕方なく水を減らして外に持ち出した。早朝だからか外は大分冷える。寮の中は隙間風は酷いけど、屋内だから少しはマシ。
ふるりと身体を震わせて急いで水を捨てた。すぐに終わらせて昨日はあまり取り掛かれなかった談話室の掃除をしなくちゃ。
その後、談話室で黙々と作業をして所々穴が空いて綿が剥き出しになっているソファ以外は片付いたと思う。掃除に慣れているわけじゃないし、やり方なんてお母さんの真似だけど少しは綺麗になったはずだ。
次は何をしようと見回しているとグリムの声が寝室から聞こえてきた。
「起きたのかな…なんかすごく騒いでいるみたいだけど」
談話室からでもグリムの声が聞こえるくらい騒いでいるなんて何かあったのかな。不思議に思いながら寝室に向かうと追い返したはずのゴーストたちがグリムの周りを取り囲んでいた。
「オ、オマエ!一体どこほっつき歩いていたんだゾ!」
「え、部屋の掃除しに行ってたよ?昨日の夜だけじゃ片付けきれてないところがあったから。それよりゴーストさんたちまた来たんですね……」
「俺たちはゴーストだから壁やドアも簡単に通れるのさ。それにしてもお前さんたち今日からここに住むんだって?悪戯のしがいがあるもんだ。いひひ」
「あ、そうだ。グリム、そろそろ学園長がここにくるだろうから先に朝ご飯食べちゃおう?確か学園長が昨日置いて行ったパンがあるから」
「…ツナ缶は?」
「流石にこんな朝から購買部はやってないからないよ」
ばっさりと切るとしゅんとグリムは肩を落とした。