The end of the story 【ツイステ】
第5章 Spray パヒューム
ローズハート先輩にあげるマロンタルトをケーキ用の箱に慎重に入れる。先輩方が作り過ぎたタルトをくれたのでエースたちとまた味わって食べてから大食堂を後にした。
***
「んーこれ!あ、揃った!コレで二位だね。
それにしてもエースはトランプゲーム強いね…」
「そうかー?単純にコイツが分かりやすいだけだと思うぜ」
だってほらと指差すのをみるとグリムがジョーカーを引きそうになるとニヤニヤと笑って、ジョーカー以外を引くと顔色が分かりやすく変わって時たま、ふなっ!と叫ぶのだ。
分かりやすいことこの上ない。グリム、カードゲームは初めてだものね。
私たちはエースがデュースに頼んで持ってきてもらったトランプでババ抜きをしていた。
「でもやっぱババ抜きだけじゃつまんねーよな」
「あはは…仕方ないよ。理解しやすいルールでグリムができそうなのってコレくらいだったわけだし」
今のところエースは二位以下に落ちてないのだから運ゲーでも本当に強い。
先輩から貰ったハーブティーを淹れて飲んでいるとエースにせがまれてエースの分もコップに注ぐ。
オンボロ寮にもポットが存在したことには驚いたけど、買わなくて済んで本当によかった。
「くそーっ!また負けたんだゾ!」
「あ、決着ついた?グリムはやっぱり負けたんだね」
「それハーブティーか?いい匂いだ」
「そうだよ。スカラビアの先輩から頂いたものなんだけど、デュースとグリムは飲む?」
ジャミル先輩から貰ったハーブティー、凄く美味しいからよかったら飲むかなと首を傾げるとデュースとグリムは目を輝かせて頷いた。
やっぱり二人とも反応が分かりやすい。
「オレ様、夜食のツナ缶食べるんだゾ!」
「いいけど一缶だけね。夜中に食べすぎるのは良くないよ」
ハーブティーとツナ缶って合うのかよく分からないけど。取り敢えず蓋を開けるとがっつき始めるグリムに思わず笑った。
グリムは本当にツナ缶が好きなんだね。
こうしてだんだん夜は更けていった。
***
誰かの泣き声が聞こえる。
それと同時にカシャガシャンと鎖が引きずられるような音。
「なんでこんなに苦しくて寂しそうな泣き声が聞こえるんだろう」
聞いてるだけなのに胸が苦しくなる。
ねぇ貴方は誰なの?私が記憶を取り戻したら分かるのかな。
なんで私はこの世界に来たの……?