The end of the story 【ツイステ】
第5章 Spray パヒューム
「オレはチェリーパイとハンバーガーかな」
「オレ様はツナ缶!あとは……チーズオムレツに焼いた肉にプリンと〜」
「うーん。強いて言うなら…オムライス…でしょうか?」
「オレは、ラム肉のグリル、ディアボロソースかけ」
ケイト先輩だけ妙にお洒落な料理だな。ラム肉?
ちょっと想像つかない料理。
「ユウはどんな食べ物が好きなんだ?」
「えーっと……わた…僕は好きなものと言われて思いつかなくて……うーん」
好きなもの……やっぱりパッと思いつかない。
食堂の料理を見る限り、和食は知らないだろう。
私も強いて言うなら味噌汁だけど……じゃあ。
「……アップルパイ」
「わかった。じゃあいくぞ?
『薔薇を塗ろう(ドゥードゥル・スート)』」
先輩が唱えた瞬間、ふわりと淡い光がマロンタルトに降りかかる。目の前で起こった魔法に一体何が起こったのかと目を丸くしているとトレイ先輩に促されてもう一口食べてみると更に目を瞬かせた。
これ、シナモンの味……それに甘酸っぱい林檎の味だ。食感や見た目はただのマロンタルトなのに味は全く違う。不思議な感覚だ。
「これは……マロンタルトなのにチェリーパイの味がする!」
「ツナ缶の味だ!……はぐはぐっ!っあ……今度はチーズオムレツ!鶏肉のグリルに、はぐはぐっ!…プリンの味なんだゾ!」
「僕のもオムライスのケチャップの味がする!不思議だ……」
「面白いでしょ?トレイくんのユニーク魔法!女の子とお茶する時、鉄板でウケると思わない?」
確かに。視覚情報と味覚の情報が合わなくて混乱するけど、私も実際凄く驚いたしケイト先輩の言ったこの魔法の使い道はきっと女子受けするだろうな。
「そういや…あのリドル?ってやつもユニーク魔法って言ってたけど、ユニーク魔法って一体なんなんだゾ?」
「ユニーク…とは言っているが、厳密に世界で一人かはさておき……一般的に、その人しか使えない個性的な魔法のことを『ユニーク魔法』と呼ぶ。そのうち授業でちゃんと習うと思うぞ」
「なるほど…ユニーク(唯一)ともユニーク(独特)とも取れる。まるでその人の個性を表してるようですね」
「個性か。それは面白い考え方をするな」
ローズハート先輩にとっての個性。真面目な性格や厳格さを表しているように感じ取れる魔法だ。
エースの首に未だ嵌り続けている首輪を見つめた。