第35章 第35話 再び
太郎「ちょーぎ」
ちょーぎ「太郎太刀…一期一振?」
太郎「この方は我々が追いかけていた主ではないかもしれません。でも…」
一期「彼女の意図を汲んであげなければ我々が彼女を見離したも同じです」
太郎「今ここで、梓様の事は忘れましょう」
一期「そうですね」
千歳「駄目だ。お前達だけは覚えておいてやってくれ。そうでないと彼女は二度死んでしまう」
ちょーぎ「二度?」
千歳「一度目はその名の通り命の終わり。そうして二度目はその人の事を誰も覚えていないという記憶の終わり。彼女はお前達にとって良い主だったのだろう?私は比較されても構わないよ。むしろ教えて欲しい。私は彼女を知りたい」
その真摯な瞳に。
ちょーぎ「梓は…」
千歳「うん、ちゃんと聞くよ。何日かかったとしても」
凍てついた心が溶かされていくように彼女の言葉に救われた気がした。
ちょーぎ「っ……」
ぎゅうっ。
頬を伝う液体が彼女から見えないように俺はきつく彼女を抱き締めた。