第2章 第2話 刀剣男子
「こんのすけがな、ここは隠世だと、私のもといた場所とは違うのだと。だから政府の許可なく現世へは帰還できないのだと……」
ぽつり、ぽつりと話し出す。山姥切には分からない単語がいくつか出てきたが、落ち着かせるように、#千歳#が出陣前に小夜にしていた様に、ぽん、ぽんと#千歳#を支えている方とは逆の手で、頭を撫でる。
やがて#千歳#が口を閉ざし、腕の拘束が少しだけ緩む。
山姥切「まあ、その……外の世界のことは俺には分からないが、アンタの愚痴くらいは聞いてやれる。だから…そんな顔するな」
ズッ。
山姥切の袖を掴んだまま、眠りにつく#千歳#。
山姥切「ずっと気を張ってたんだな…おやすみ、#千歳#」
暫く袖を離してくれた#千歳#に袿をかけてやり、部屋から出る。
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山姥切視点
薬研「山姥切の旦那、布はどうしたんだ?」
主の部屋から出ると薬研藤四郎が通りかかった。
山姥切「今は貸し出し中だ」
薬研「今は、か」
山姥切「何が言いたい」
正直、コイツは苦手だ。
薬研「いや、大将と懇ろにもなったのかと思ってな」
また突拍子の無いことを‼️
山姥切「懇ろも何もない」
薬研「へぇ」
山姥切「何だ」
まだ何かあるのか?