第5章 身八つ口【黒尾鉄朗】
「…じゃ、そろそろ行くか? …それ、ほんとになおせるの?」
浴衣はすげーはだけてる。
おまけにシワもちょこちょこ。
つーか股から俺のが垂れてきてんじゃん、やべ。
『…んー、とりあえず直せるけど、多分遊児にはバレるな。着付けわたしより上手いから』
そう言ってくしゃっといたずらそうに笑う。
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『よしっ、どうかな?』
とりあえず直せるって言ってたけど、
俺には十分ちゃんと着れてるように見える。
髪の毛はもうおろしちゃお、と呟いて
飾りを外すと、纏めてた髪がふぁさっと降りる。
それもまた色っぽいし、いい匂いするし、
もう俺のもんだと思うと一層かわいく愛おしい。
「なぁ、その手の入口、名前とかあんの?」
『…笑 身八つ口、って言うんだよ』
「オッケー、覚えとく。俺だけの手の入口」
『鉄朗のだけじゃないけど。わたしも使うしおばあちゃんも直してくれる時つかう』
「…じゃあ、男は俺だけな。遊児もダメだからな」
『…ふふ、はぁい』
いろいろ考えることやることはあるけど、まぁとりあえず。
もうこいつは俺の女。
他の男には指一本触れさせねぇーぞって、
この子には無理っぽいけど…
ま、そんな感じで。
ー完ー