第83章 時間遡行軍、現る
レンは、清光と安定が苦戦している大太刀の加勢に入る。
「風遁、カマイタチ!」
「グガッ…!」
背後からの攻撃にも関わらず、致命傷には程遠い擦り傷程度しか負わせられない。
「ダメか…。」
「「どりゃあ〜!!」」
「グゥ…!」
注意がレンに向いた瞬間に、加州と大和守が突きを繰り出すも、その大きな刀で防がれてしまう。
「硬すぎる…!」
「どうすれば…。」
加州と大和守では、威力が足りないのか歯が立たない。
大太刀の刀には、罅どころか刃こぼれすらない。
レンの術でも倒せなくはないが、彼女の術は広範囲に及ぶものが多く、大騒ぎになるのは目に見えている。
加州と燭台切も特殊訓練をしている為、大技を振るえるが、それも広範囲に及んでしまう。
つまり、打つ手が無い。
「レンちゃん!」
止めを刺した燭台切がレンに駆け寄る。
「こっちは終わったよ。あとは、コレだけだね。」
彼の言葉にレンは頷いた。
「これだけ大きいと刃が通らないですね。」
相手は、太郎太郎や次郎太郎よりも一回りは大きい上に、かなり頑丈だ。
「そうだね。せめて刀を叩き落とせるといいんだけど…。」
「…そうか…。」
燭台切の答えに、レンはふと思いつく。
―体と刀を引き剥がせば或いは…。
「光忠、ちょっと下がって。」
「な、何…?」
レンは思いついた作戦を燭台切に話す。