第7章 007

一通り死体の確認を済ませた成瀬は、現状維持のを保つため、その場を元あった状態に戻し、手に嵌めていたゴム手袋を翔太郎に返した。

｢大変助かりました。ありがとうございました｣

｢い、いえいえ、有名な弁護士さんの役に立てて嬉しいっす！｣

ゴム手袋を受け取った翔太郎は、相変わらずのお調子者っぷりで、遠巻きにその姿を見ていた健太は、小さく舌打ちをした。

｢専門外なのでハッキリしたことは言えませんが、遺体の状況は大体分かりました。ところで…｣

ソファに腰を下ろした成瀬は、鮫島や榎本、そして大野を前に、膝の上で両手を結んだ。

｢皆さんがこの部屋に入ったのは、大体の時間でで構わないので教えて頂けませんか？ あと、出来れば遺体発見時の状況も教えて頂けると助かるんですが…｣

｢あ、ねぇ、それってさ、アリバイってやつ？｣

すかさず突っ込む翔太郎に、成瀬は微笑みを絶やすことなく頷く。

｢あくまで私の想像ですが、遺体発見時の状況が、もし密室なり無人であった場合、当然あの遺体は変死体として扱われることになり、当然警察の介入が必要となります｣

言いながら、成瀬はその場にいる全員の顔を見回した。

ただ一人、死角にいる健太を除いて…