• テキストサイズ

Room Number 「OOO」【気象系BL】

第6章 006


前を向いたまま、榎本には聞こえないよう、小さく舌打ちをする健太と、隣で「あっちゃ〜」と呑気にキャップを被った頭をポンと叩く翔太郎。

ゆっくり健太は振り返ると、今更ながらに顔の半分をキャップで隠し、ワゴンに突っ込んだ掃除道具の中から、清掃用のスプレーと真新しい雑巾を取り出し、わざとらしくキャビネットの上を拭き始めた。

勿論、翔太郎も健太に習ってキャビネットの側面を拭いたり、周囲をホウキで剥いたりと、清掃員らしく振舞った。

そして一通りの掃除を済ませた二人は、手にしていた掃除道具を再びワゴンに突っ込み、

「じゃあ…、これで…。失礼しました」

鮫島に頭を下げた。

「ああ、お疲れ様」

鮫島は二人を見ることなく手をヒラヒラとさせると、居眠りをしたままの大野をチラリと見てから、

「さて、これをどうするか…」

指で顎をスリスリと摩りながら、首を傾げた。

「仕方ありません。このまま寝かしておきましょう」

「そうだな。起き次第すぐに追い出せば良いか…。いや、でもちょっと待てよ? この居眠り男は良いとして、アレはどうする…」

「アレとは…、アレのことですか?」

「お、おお、アレだ…」

「アレは…、警察に任せた方が良さそうですね」

鮫島と榎本が暗号のような会話をしている間、徐々に出入口付近にまで足を進めた二人は、榎本の口から出た“警察”の言葉に、またしても肩を跳ね上げた。
/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp