第4章 004
メールの送り主に心当たりがないと言う大野に、これ以上追求するのは時間の無駄だと判断した健太は、話を部屋からの脱出方法に切り替えようとした。
ところが…
「大野さんがこのメールの人と知り合いじゃないってことは、あの死体…弘行さんだっけ?と知り合いだった…とか?」
どうにも納得出来ないのか、翔太郎が自身の携帯電話を弄りながら、首を傾げた。
そしてある場所まで画面をスクロールすると、「あった」と小さく呟いてから、その画面を健太と大野に向けた。
「俺思ったんだけど、ここに“もう一人の仲間”ってあるだろ? これってさ、もしかしたら弘行さんのことかな…って…」
「だとしても、肝心な弘行さんは死んじまってんじゃねぇか…。つか、俺そのメール知らないんだけど…」
「あれ? そうだっけか?」
「そうだよ…、俺が最初に見せられたメールには、そんなこと一言も書いてなかったし」
健太が不審がるのも当然だ、翔太郎はもう一通受け取っていたメールを、健太には見せていなかったのだから。
もっとも、翔太郎自身そのことを忘れていたし、もっと言えばメールの存在自体を忘れていたのだから、健太は勿論のこと、大野にまで呆れられるのは、当然のことなのかもしれない。