第4章 004
翔太郎と健太は、混乱の最中にいる大野を一人その場に残し、四方の壁を叩いてみたり、備え付けのバスルームを覗いたり…
何とか部屋から抜け出せる方法を探して回った。
が…
「駄目だ…、どこにも出口なんてねぇ…」
「どうする? このままだと俺達…」
翔太郎の視線が、ゆっくりベッドに横たわる弘行の死体に向けられ、後を追うように健太の視線もベッドに向けられた。
「あ、あのぉ…、ちょっと良いですか?」
「あ、ああ、何だよ…」
「さっきから気になってたんだけど、俺はどうしてここに?」
「そ、それは…、その…」
翔太郎は助けを求めるように健太を振り返ると、困ったように眉を下げた。
当然、健太の肩はがクリと下がり、小さく舌打ちを一つすると、翔太郎のツナギの尻ポケットから、翔太郎自身のスマホと、依頼人が手配したプリペイド式携帯電話を引き抜き、荷台をテーブルの上に並べた。
そしてスマホのメッセージアプリを立ち上げると、依頼人から送られて来たメッセージを表示させた。
「これ…は?」
「いいから読んで見ろ」
言われて大野はスマホを手に取ると、そこに書かれた文章を真剣な表情で読み進めた。