第3章 003
向き合ったまま、暫くの間考え込む二人。
その時、びっくり返ったワゴンの中で、寝袋がゴソリと動いた音がして、二人はほぼ同時に肩をビクリの跳ね上げた。
ターゲットが目を覚ましたんだろうか…
二人は急に騒々しくなった鼓動を誤魔化すため、口元をキュッと引き縛り、息を鎮めた。
…が、それ以上寝袋が動くことはなく…
どちらともなくホッと息を吐き出すと、脱力したように跳ね上がった肩を下ろした。
「なあ、俺、考えたんだけどさ…」
沈黙を破るように、翔太郎がボソリと言う。
「な、何をだよ…」
「このままだと、確実に俺らが犯人にされる…じゃん?」
「まあな…」
当然だと言わんばかりに、健太が溜息を落とす。
「だからさ、アイツのせいにしない?」
「アイツ…って?」
「だから、“アイツ”だよ」
分かっているくせに嘯く健太に、翔太郎は少々苛立ち気味に、寝袋に包まれた物体を指差した。
「そんなこと出来んのかよ…」
「分かんないよ…。分かんないけどさ、このままだと俺達間違いなく殺人犯にさせられるんだぜ?」
その上誘の罪まで着せられるとなれば、それなりの刑罰を受ける可能性は高い。
そうなれば、アクション俳優を目指す翔太郎も、歌手になりたいという健太の夢も、全て諦めなくてはならなくなる。
それだけは避けなければならない。