• テキストサイズ

Room Number 「OOO」【気象系BL】

第9章 009


突然の大野の涙に、翔太郎も健太も一様に戸惑いの表情を浮かべたが、それでもまだ大野の心理が理解出来ないのか、翔太郎は俯いていた顔を上げた。

「あの、さ…。俺に誘拐の依頼してきたのがアンタだったとして、鍵は? さっきの話だと、関係者以外の人間が手に入れるのって…」

「その件に関しては私から説明しましょう」

言いかけた翔太郎を遮り、それまで沈黙を貫いていた榎本が、テーブルの上に並べられたカードキーを手に、スッと席を立った。

「まずこのカードキーの入手先ですが、先程もお話した通り、ここまで精巧に作られたコピーを作成することは、素人には不可能です」

「専門の業者にしか作れねぇってことだろ?」

「そうです、その通りです。でも彼にはそれが出来た。それはつまりどういうことか分かりますよね?」

「え、ひょっとして…?」

驚きの声を上げた翔太郎に、榎本は小さく頷いて見せると、足音を立てることなく大野の前まで歩み寄り、まるでマジックでもするかのように、二枚のカードを指で広げた。

「先月お会いしましたよね?」

「え…?」

言われて大野は記憶を巡らせた。

そして数秒考え込んだ後、

「もしかして銀行の金庫の前…」

思い出したように顔を上げた。
/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp