第2章 憧れの人〜ドリノベVer〜
都内の某収録スタジオ。
ご長寿番組となりつつあるRe:valeが司会をしているバラエティ番組の収録が始まろうとしていた。
私はいつも収録が始まる前にRe:valeの楽屋に行き収録時間の開始を告げに行っている。
数年前からADとしてアルバイトをしている私の仕事の始まりの儀式だ。
コンコンと扉を叩いて中に入ると、寝転がっているユキさんと、既に準備万端なモモさんが居た。
「失礼します!そろそろ収録開始時間です」
「はーい…」
「おはようあいちゃん♪今日もヨロシクね!」
最初に相槌を打ったのは千さん。
どうやら朝は苦手らしく、そんな千さんの事を考えこの番組の収録はいつもは昼から行っている。
だが今日は他の出演者などの都合上朝からの収録になってしまったのだ。
もちろんそれはRe:valeの二人も了承済みらしく、大変懐が広く感じる話ではあるが…
「ユ、ユキさーん?起きてますー?」
「もちろんだよ…」
目を瞑りながら上半身だけ起こし体をユラユラさせるユキさん。
「ちょっとユキ!お目めちゃんと開いてる?今日も一段とカッコイイモモちゃん映ってる?」
「そんなの…目を閉じてても、ちゃんとモモを感じてるよ…」
「ダ、ダーリンったらっ…!まだ朝だから、そういうのは夜二人きりの時に…じゃなくて!そろそろ準備しよう?」
「僕の事は置いて先に行ってくれ、モモ…」
「な、何かカッコイイけど…今は置いて行けませんっ!」
Re:vale恒例の夫婦漫才。
この二人のやりとりを見てると元気が湧いてくる。
Re:valeを知ってから数年経った今も、飽きた事は一切ない。
「ごめんねあいちゃん?毎回毎回呼びに来てもらっちゃって。ユキったら、一人でスタジオに行けないんだよね~」
そんなユキさんを毎回うまくコントロールしているモモさん。
明るくて人当たりもよくて、スタッフからの信頼も厚い。
私の…憧れの人だ。