第13章 ❄️️ 記録と活用
『………とこやみ、2人が別れた。今4階。思った通り階段を軸に半分ずつ探索してるっぽい。』
「よし。轟の方はどちら側か分かるか?」
自分の結晶が壊れていく感覚でヒーローチームの動きを読み取る雪は更に神経を研ぎ澄ます。
感覚が2つ別れたことで集中するのが難しい…が。
『……西側の方が足が早い気がする。』
「では5階の西側で待ち伏せよう。」
『5階あがったら結晶を動かして合図するから。』
「承知!!」
そう言って常闇は一つ下の階へと降りていった。
程なくして轟と思われる方が上へと近付いてくる。
来たっ!
雪は轟がいると思われるポイント周りの結晶をそこに集約させる。
動かしたことによりその他の結晶への意識は途切れ、一瞬で水蒸気へと戻ってしまう。
『さぁ、次は。』
他の階と違い、6階から7階へと続く階段は一つだけ。
ここを守る…。
上へ上がるための階段の前に立ち、ホールの反対側、八百万が上がってくると思われる階段を見やる。
「っどういうことですの!?」
『ようこそ、やおよろず。でもここから先は通さないよ。』
(轟さんは確かに同時に攻撃されたとおっしゃっていた……まさか見ていないところでも結晶を動かせる…?でも見てもいない轟さんの場所をなぜ…………いえ、考えるのは後ですわね。)
両手を前に構え、いくつかの結晶を形成した雪を見て八百万も戦闘態勢に入る。
「うおお!ついに始まったな!」
「まだどっちが勝つか分からないわね。」
「いやはや雪クン、彼女は実に器用だな!」
モニター室も盛り上がり始める。
唯一、訓練中の生徒の声を拾うことのできるオールマイトのみが、この勝負の行方を確信していた。
(素晴らしいな、全て彼女の掌の上だ。)