第12章 ❄️ その実態は
「Aコンビが【ヒーロー】!!Dコンビが【敵】だ!!」
初戦は緑谷・麗日 対 飯田・爆豪だ。
「敵チームは先に入ってセッティングを!5分後にヒーローチームが潜入でスタートする。他のみんなはモニターで観察するぞ!」
はーい!と返事をして4人以外の生徒は地下のモニタールームへと移動する。オールマイトは4人に対して何かアドバイスをしているようだ。
モニタールームへと向かう生徒達の最後尾、チラリと振り返る白い少女。
緑谷と爆豪は幼なじみ。そう言っていた。
随分仲の悪そうな、というか爆豪が一方的に嫌っているのか?緑谷のことを無個性だと思っていたのはなぜだ。緑谷は隠していたのか?
モニタールームへと降りる階段の前で立ち止まってぼーっと考え込む。
そういえば緑谷は個性を上手く扱えないらしい。ふと、実技試験の後の緑谷との会話を思い出す。
_______________あ!?ぼ、僕?えっとその、夢中になりすぎて力が暴走しちゃったっていうか、緊張してて上手く個性が使えなくて、あ、あはは。_______________
(不自然だった。やっぱり緑谷は個性について何か隠したいことが…?)
「おーい、どうした雪少女、気になることでもあるのかい?」
はっとして、また自分の世界に入り込んでしまった、と反省する。
気付けばオールマイトもモニタールームの方へと来ていて、顔の前で手を振られていた。
『すみません、みどりやの個性がちょっと気になって…。あ、すぐ入ります!!』
「…………………。」
そう言って急いで階段を降りてゆく彼女の後ろ姿を見て。
(あー、びっくりした、焦った!まさか気づかれちゃいないよね?)
平和の象徴は胸を撫で下ろす。
(それにしても、よく頭の働く少女だな…)
モニターには既に建物内の様子が映し出されている。
オールマイトが中に入ると、ほとんどの生徒がモニターの近くまで行ってワイワイと喋っている。そんな中、彼女…雪は後ろの方に立ち、大きなモニターが全て視界に入るようにしているのが伺える。
(よし。やはり、使うつもりだな。)
彼女のもう片方の個性を知るオールマイトは、そう確信する。