第11章 ❄ 口喧嘩?、クッキー、最下位。
「雪!」
グラウンドからぞろぞろと校内へと向かう1-Aの生徒達。
『ん、きりしま』
「おつかれ!良かったな、除籍嘘で!ガオーって!」
ははは、と笑いながら横に並ぶ切島。
雪は顔を真っ赤にし、もー!と ぽこぽこ攻撃する。
「あたた、すまんすまんっ」
『私はほんとに人生終わるかと思って大変だったんだから。』
ぷーと頬を膨らませて怒る雪。
表情豊かだな、と切島は思う。
「そういや朝個性聞くのすっかり忘れてたからさ、びっくりしたぜ。すげー綺麗な…」
「ほんとほんと!俺思わず見とれたちゃった!」
切島の言葉をさえぎり、雪を挟んで反対側に並ぶのは上鳴。
『あ!かみなり!そんなこと言って。さっき笑ってたの見てたんだからからね!』
今度はむぅ~と言いながら上鳴を見上げる。
(やだ眩しいっっ)
上鳴は片手で目を覆い上を向く。
切島も、頬をぽりぽりと掻きながら青い空を見上げるのだった。
❄❄❄
制服に着替えて教室に戻る。
時刻は11時過ぎ。
それぞれの机には相澤が言っていた書類と、新しい教科書類が山積みにされていた。
帰る時絶対重いーと顔を歪めるクラスメイト達。
(みんなは電車乗ったりして帰るんだ、大変そう…)
自分は徒歩5分とかからないから楽ちんだ、ラッキーだ!!
一人、くすくすと笑う雪。
(ほんとに表情豊かだな)
雪よりも早く着替え終わって戻ってきていた隣の席の切島に、そんなことを思われてるとは知らず。
事前に配られていた予定表には、[ 11:00 下校 ]とされていた。
鞄を背負って廊下を通り過ぎる他クラスの生徒達を見て、もう帰っていいのだろうと判断した1-Aの生徒達も、鞄に教科書を詰め始める。
「じゃ、また明日な!」
『あ、おつかれきりしま、したっけ!』
「お?おう。」
帰り支度を済ませ、ちらほらと何人かの生徒が教室を出ていった頃、雪の左隣。未だ教科書が積み上がったままの席の主が遅れて戻ってきた。